最低賃金を上げるタイミングは発効年月日から(都道府県による)

社会保険や労務のお話

こんにちは、大阪市の女性社労士 小森ゆかりです。

令和3年10月1日から、大阪府の最低賃金が時給992円に上がります。

これまで964円でしたので、28円の引き上げ。
全国的にみると、引き上げ幅は28~32円となり、改定後の最低賃金はすべての地域で800円を超えることになります。
最高額は東京の1,041円で、次いで神奈川の1,040円。最低額が高知と沖縄の820円。

昨年度は、新型コロナの影響で雇用を守ることが最優先とされ、全国加重平均で1円だけの引き上げでした。
今年度は、政府が「全国加重平均1,000円の早期実現をめざす」と表明していることでこのような引き上げに至ったようです。

最低賃金は2種類

最低賃金には2種類あります。
地域別最低賃金特定最低賃金です。

地域別最低賃金

産業や職種にかかわりなく、全ての労働者に対して適用される最低賃金。
各都道府県に1つずつ、全部で47件の最低賃金が定められています。

特定(産業別)最低賃金

特定の産業について設定されている最低賃金。
都道府県ごとに、その地域の主となる産業にのみ定められています。
その産業に人材が集まりやすよう、保護・後押しをするための措置です。

地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が適用される場合には、使用者は、金額の高い方の最低賃金額を支払わなければなりません。

そして、特定最低賃金の方が地域別最低賃金よりも金額が高くなっていることが多いので、通常は特定最低賃金が優先されます。

適用される労働者

最低賃金は、事業場で働くすべての労働者に適用されます。
正社員、有期雇用、パートタイマー、アルバイト、試用期間中、嘱託等の雇用形態は関係ありません。

ただし一部、最低賃金の減額の特例が認められる場合もあります。

また、同居の親族のみを使用する事業、家事使用人は、労働者に該当しませんので最低賃金は適用外となります。

最低賃金の対象となる賃金

最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。

具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。

  1. 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
  2. 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(ボーナスなど)
  3. 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  4. 時間外労働・深夜労働・休日労働に対する賃金

このように計算した最低賃金が、例えば労使で合意のもと、最低賃金より低い賃金を定めても、それは最低賃金法で無効とされます。

いつから適用されるか

最低賃金の効力が生じる日(発効年月日)は都道府県ごとに異なります。10/1と決まっているわけではありません。

地域別最低賃金の全国一覧(厚生労働省)

上記の一覧表、一番右側に「発効年月日」が記載されています。
例えば令和3年度の場合、大阪府は10月1日で、青森県は10月6日です。
大阪府の場合は、10/1に勤務した分から引き上げなければいけません。

もし給与の締め日が20日締の場合、9/21~10/20というサイクルになりますが、
9/21~9/30までは引き上げなくて構いませんが、10/1~10/20は引き上げ後の金額となります。

締め日途中での変更がまぎらわしいようであれば、例えば前倒しして、9/21から変更とします。
後倒しして、10/21から変更とすると、10/1以降が最低賃金を下回ることになるので、その差額が未払い給与とされてしまいます。

地域別最低賃金を支払わない場合には、最低賃金法により罰則(50万円以下の罰金)が定められていますので注意が必要です。

まとめ

普段から、最低賃金より少し余裕をもった賃金設定をしていれば、毎年10月に引き上げる措置を取る必要がなくなりますね。

最低賃金は、雇う上でも、働く上でも、最低限のルールです。
使用者の方も、労働者の方も、必ず確認するようにしましょう。

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