従業員がiDeCoの事業主証明を求めてきたときの対応方法

社会保険や労務のお話

こんにちは、大阪市の女性社労士 小森ゆかりです。

時々、クライアントさんから「従業員からiDeCoの事業主証明を記入してほしいと言われたのですが、何のことでしょうか?」というお問い合わせを受けます。

iDeCoは個人で加入するものですが、勤務先の事業主が行う手続きがあります。

iDeCo(イデコ)とは

iDeCoとは個人型確定拠出年金のことです。

そもそも確定拠出年金とは、
毎月一定額をこつこつ積み立て、定期預金や投資信託などの金融商品で運用しながら、老後の年金を準備していく仕組みです。

会社が企業年金として導入すると「企業型確定拠出年金」、個人が任意で加入するのが「個人型確定拠出年金」つまりiDeCo(イデコ)です。

自分で掛金を払って自分で運用するので、iDeCoに入るかどうかは完全に個人の自由なのですがね。

会社員や公務員である加入希望者は、掛金額を決め、運用商品や金融機関を決めたあと、
自分の勤務先の会社に事業主証明書(「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」)を記載してもらう必要があるのです。

このために加入をためらってしまう方が一定数いるようです。
が、2022年10月から、この事業主証明が不要になるようですね。
(会社に知られずにiDeCoを利用できるようになるわけではなく、事業主証明の発行の手間がなくなる、ということのようです。)

現状ではまだ事業主証明が必要ですので、それについて説明します。

会社が行う事務

① 事業主証明の発行(新規加入時・転職時など)
② 現況届の提出
③ 事業主に係る変更事項があった際の届出
④ 掛金の納付(加入者が、掛金納付方法として事業主払込を選択した場合のみ)
⑤ 源泉徴収 (加入者が、掛金納付方法として事業主払込を選択した場合のみ) と年末調整

1つずつ見ていきます。

① 業主証明の発行(新規加入時・転職時など)

企業年金の加入状況や共済組合員の資格の有無などで、加入者の掛金の限度額が異なってくるため、事業主の証明が必要となります。
転職した場合は、転職先で改めて事業主証明を発行します。

会社で初めての加入者が出た場合は、その時の証明が、事業所登録申請書を兼ねることになります。
従業員が既定の用紙を持ってきますので、必要事項を記入し、従業員に返却すればよいです。

② 現況届の提出

年1回の提出です。
届け出期日の1ヶ月くらい前までに加入者のリストが会社に届きますので、現状の在籍状況や企業年金の加入状況など必要事項を記載して返送しましょう。

③ 事業主に係る変更事項があった際の届出

事業主の名称や所在地が変更になったとき、掛金の納付方法を変更するとき、企業型年金を導入するとき、など。

④ 掛金の納付 (事業主払込の場合のみ)

掛金の納付方法には、個人払込と事業主払込とがあります。
個人払込は、従業員本人の銀行口座から引き落としする方法、
事業主払込は、会社を経由して納付する方法です。
具体的には、従業員の毎月の給与から、会社が掛金を控除しておき、会社の口座から引き落とすというものです。

事業主払込にする義務まではありませんので、給与天引きが難しいようであれば個人払込を選択すればよいと思います。

⑤ 源泉徴収(事業主払込の場合のみ) と年末調整

事業主払込を選択し、会社が給与から天引きする際は、
給与額から掛金(と社会保険料等)を控除した上で源泉徴収税額を計算します。
なので、払込証明書を添付しての年末調整や確定申告は不要です。

個人払込の場合には、国民年金基金連合会から従業員宛てに毎年10月頃に小規模企業共済掛金払込証明書が送られるため、これを会社に提出させて年末調整(または個人で確定申告)を行うこととなります。

まとめ

iDeCoへの加入は、公的年金だけに頼らず、老後の生活のために備えておこうとする従業員の自助努力です。
会社としてはできる限り協力し、スムーズに事務手続きを進められるようにしておきましょう。

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