月の途中で最低賃金の時給を上げた時の月額変更届

社会保険や労務のお話

10月から最低賃金が改定されます。

これに合わせてパート・アルバイトの時給を変更する場合、対象の従業員が社会保険の加入者であれば、固定的賃金が変動したということで、月額変更に該当する可能性があります。
(固定的賃金の変動+3ヶ月平均額が2等級以上の変動+支払基礎日数17日以上の3要件を全て満たした場合。)

給与の締めが末日で、10/1から時給をアップするよという会社なら、特に迷うこともなさそうですが、給与計算期間の途中で時給を変更する場合は、月額変更届の変動月の考え方に注意が必要です。

月途中で変動しても起算月にはならない

最低賃金は何月何日から適用されるのかは、都道府県ごとの「発効年月日」によるので、
大阪府であれば令和4年10月1日から、京都府は10月9日からと、都道府県ごとにまちまちです。

「発効年月日」に労働した分から、新たな最低賃金が適用されます

発効日がいつかは、下記の表で確認してください。
厚生労働省「令和4年度 地域別最低賃金 改定状況」

この発効年月日にぴったり合わせて時給を変える場合、例えば京都府では、10/9から時給が変動することになりますよね。

ケース①

末締・翌月15日払の会社(京都)で、
10/1~10/8は時給950円、10/9~10/30は時給1,000円と設定し、
11/15に給与を支払う

→11/15払で固定的賃金の変動があったから、11月からの3ヶ月で月額変更かどうかをチェックするんだよね!と思いきや…

正解は、12/15払を変動月と考えます。
 1ヶ月分の給与が満額支払われた月を、変動月と考えるためです。


また、発効年月日が10月1日の大阪府の会社について、15日締の場合、10/1からの時給変更は、給与計算期間の途中での変動ということになります。

ケース②

15日締・当月25日払の会社(大阪)で、
9/16~9/30は時給1,000円、10/1~10/15は時給1,050円と設定し、
10/25に給与を支払う

→10/25払で固定的賃金の変動があったから、10月からの3ヶ月で月変チェック!と思いきや…

正解は、11/25払を変動月とカウントします。
 10/25払では1ヶ月分フルの給与が確保できていないので、
 まるまる支払われた11/25払を変動月として扱い、11/25・12/25・1/25払の3ヶ月の平均額を取って、月額変更に該当するかどうかを見るということになります。

満額支給された月を、変動の1ヶ月目とする

日本年金機構の「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」より引用。

出典:厚生労働省「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」の一部改正について(令和4年9月5日事務連絡)より一部抜粋

実績として1か月分確保された月を固定的賃金変動が報酬に反映された月として扱い」とあります。

月給者で月途中で昇給があった時とか、引越しして月途中で通勤手当が変わった時とかも同様に考えます。

まとめ

最低賃金の発効年月日にこだわらず、直前の給与の締め日に合わせて早めにアップさせておくと、事務処理的には楽かもしれません。

最低賃金の変更もあるし、雇用保険の料率の変更もあるしで、10月の給与計算は要注意ですね。

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