同月に賞与を2回支給する場合の、賞与支払届と社会保険料

社会保険や労務のお話

こんにちは、大阪市の社労士 小森ゆかりです。

冬季賞与の支給後に、今期は業績が良かったので追加の賞与を・・・なんていう嬉しいことが起きた場合。
決算賞与とか臨時賞与など、会社によって呼び名は異なるでしょうが、年3回以下の労働の対償として支給する賞与については、日本年金機構への事務手続き(賞与支払届)が必要です。

そして賞与計算時の社会保険料の計算もちょっと注意が必要です。

賞与支払届の提出

従業員に賞与を支払った場合は、事業主は、支給日から5日以内に「賞与支払届」を日本年金機構へ提出することになっています。

(なお、年4回以上支払う賞与の場合は、もはや賞与でなくて給与扱いとされるので、賞与支払届を提出する必要はなくなります。)

同一月内に、2回以上賞与を支給することが、あらかじめわかっている場合は、
その最後に支給した日を賞与支払年月日とし合算した賞与額を一括で届け出して構わない、ということになっています。
用紙の備考欄に「3.同一月内の賞与合算(初回支払日〇月〇日」と記入する欄がありますので忘れずに。

元々は1回しか支給する予定がなくて、すでに1回目の賞与支払届を提出してしまった時は、
2回目の支給の時に、改めて2回目の賞与額だけを届け出します。
用紙余白などに「1回目の賞与〇月〇日支給済」と記載しておけばわかりやすくて尚良しかと。

合算した金額で、日本年金機構から「標準賞与額決定通知書」が発行されますので、金額に誤りがないか確認しましょう。

賞与の社会保険料

日本年金機構は、同一月内のこの2回以上の賞与額を合算した金額から、1,000円未満の端数を切り捨てて「標準賞与額」を決定し、保険料を算出して、会社に請求してきます。

例えば1回目の賞与額200,500円、2回目の賞与額100,800円だった場合、
合計301,300円、
1,000円未満切り捨てて標準賞与額は301,000円です。

健康保険(介護保険含む)・厚生年金の保険料は、この標準賞与額に保険料率を掛けて計算します。
会社は標準賞与額301,000円分の保険料を日本年金機構に納付します。

そして会社は、従業員の賞与から社会保険料を控除するわけですが、
この同一月標準賞与額合算をよく理解しないまま、1・2回目の賞与計算をそれぞれ単独で行って完結してしまうと誤差が生じるケースがあります。

上記の例でいくと、
1回目の賞与計算で、賞与額200,500円 → 標準賞与額200,000円 で保険料計算・控除
2回目の賞与計算で、賞与額100,800円 → 標準賞与額100,000円 で保険料計算・控除
としてしまうと、

標準賞与額300,000円分の保険料しか控除できていないことになります。
正しくは301,000円なのに!です。

これを防ぐためには、
1回目の賞与計算はこのままでOK。
2回目の賞与計算の時は、1・2回の賞与額を合算した後の標準賞与額により算出した保険料から、1回目の標準賞与額より算出した保険料を差し引きした金額を控除しなければいけません。

ひと手間かかりますね。

また、標準賞与額には上限があり、健康保険は年間(4~3月)573万円、厚生年金は1ヶ月150万円を超える場合は別途調整が必要になりますのでご注意を。

まとめ

社会保険料の計算については、給与計算ソフト等で自動的に対応してくれるものもあれば、してくれないものもあります。

微々たる金額かもしれませんが、給与や賞与の計算、一度ミスが発覚すると、信頼を回復するのがなかなか難しいです・・・。

確か計算方法にちょっと注意が必要なんだよなあ、という目でチェックしていただければと思います。

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