両立支援コーディネーター基礎研修を修了しました

社労士の活動

こんにちは、大阪市の社労士 小森ゆかりです。

11月下旬から12月にかけて、独立行政法人労働者健康安全機構が主催する「両立支援コーディネーター基礎研修」を受講修了しまして、修了証書を受け取りました(一応生まれ年だけ隠してます)。

両立支援コーディネーターとは、

労働者(患者)やその家族からの依頼を受けて、労働者(患者)に寄り添いながら相談支援を実施し、また労働者(患者)、主治医、企業・産業医のコミュニケーションのサポートを行う者

と定義されています。


そもそも「両立支援」というのは、働き方改革の一つで、

  • 子育て
  • 介護
  • 治療

というライフイベントの中で起きる3大テーマと、仕事とを両立させていくというものです。


このうち、「子育て」には産前産後休業や育児休業、「介護」には介護休業という法律によるサポートがあるにも関わらず、「治療」についての病気休業等は現状、法制化されていません

個々の職場(会社)により、独自の特別休暇や病気休業制度があったりなかったりするわけです。

「子育て」「介護」は、いずれも自分がサポートする側のものですが、
「治療」は、本人が病気にかかっているわけですから、自分がサポートされる立場であるということ、またいつ遭遇するか想定もできず、その期間も不明瞭です。

そこで両立支援コーディネーターは、この「治療」と仕事との両立に焦点を当てて
病気にかかった労働者がスムーズに職場復帰できるように、または仕事を理由に治療を中断することなく継続治療できるように、医療機関に受診し始めた早期の段階から対象者の依頼を受けて介入することを目的にできた新しい職種、とされています。


私自身、年々健康診断でひっかかる項目が出てくるようになると、本当に病気は他人ごとではないなと感じるようになってきました。

もし何らかの病気を抱えることになったとして、診断技術や治療方法の進歩により、かつては不治の病と言われていた疾病であっても生存率が向上しているわけで、病気になったからすぐ会社を辞めるのではなく、長く付き合っていくという形に変化しつつあります。

そうなると、職場の理解や支援体制が不可欠なんですよね。


病気になった労働者は、どんな治療を行うのか、仕事を続けられるのか、また治療費や生活費が心配。

医療機関としては、治療はできるけれども、患者の職場のことや社会保険制度まではわからない。

会社は、病気への対応方法や、具体的に何に気を付けて支援すればいいのかがわからない。


両立支援コーディネーターの役割は、このような3者の間に立って情報を整理し調整を行って、労働者の治療と仕事との両立をサポートすることです。


社会保険労務士という立場から、両立支援を行うための、職場での環境整備にダイレクトに関わることができるのではないかと考えます。


たとえば、

  • 研修等による両立支援に関する意識啓発
    当事者や、その周りの従業員・管理者に対して、治療と仕事の両立に関する研修等を通じた意識啓発を行う。

  • 相談窓口等の明確化
    従業員が安心して相談・申出を行えるよう相談窓口を設け、本人・人事労務担当者・上司や同僚・産業医や保健師等の関係者の役割と対応手順、情報の取り扱い方等をあらかじめ整理しておく。

  • 就業規則の整備
    ①各種休暇制度
     時間単位の年次有給休暇、傷病休暇や病気休暇など会社独自の休暇
    ②勤務制度
     時差出勤制度、短時間勤務制度、在宅勤務、試し出勤制度
    ③時間外・深夜労働の免除
    ④配置転換に関する要件
  • 代替要員確保の検討
    通院の頻度や通勤への影響、職場全体への影響を考慮し、病気と治療の見通しを立てる。

  • 職場復帰への流れと段取りの整理
    ①休職中の体調確認
    ②主治医の復職許可
    ③職場の復職可否判断
    ④職場復帰
    ⑤職場復帰後のフォローアップ

  • 関係者間の円滑な情報共有のための仕組みづくり


こういった職場における両立支援の取り組みを行いつつ、労働者・職場・医療機関間の理解が深まるようにサポートできればと思います。

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