こんにちは、大阪市の社労士 小森ゆかりです。
会社の給与計算担当の方々、
従業員が特定の年齢になると、計算方法が変わったり、手続きが発生したり、毎月おつかれさまです。
今回は、従業員が40歳になった時、給与から控除しなくてはいけない介護保険料の徴収についてです。
給与計算ソフトが自動的に変更をかけてくれることもあると思いますが、
従業員から「今月から保険料が上がってるのはなぜですか」なんて聞かれますので、内容は把握しておきましょう。
介護保険料とは
介護保険料というのは、
介護が必要な高齢者を社会全体で支える仕組みで、
国や自治体の負担金や、高齢者自身が支払う介護保険料の他、40歳~64歳の健康保険加入者と事業者により支えられているものです。
40歳から64歳までの従業員(「介護保険第2号被保険者」と言います。)については、毎月の給与から会社が介護保険料を控除し納付する必要があります。
(健康保険料・厚生年金保険料と合わせて、日本年金機構に納めます。)
そして65歳以降は、個人ごとに、その人が住んでいる市区町村から、もしくは年金から徴収されることになりますので、給与からの控除は止める必要があります。
「介護保険料なんて給与から引かれてないよ」と言う40歳以上の方もいますが、
給与明細書上は、「健康保険料」という項目の中に合算で入っているケースも多いです。
「健康保険料」と「介護保険料」とに、きっちり分けている会社もあります。
「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」の記載も介護保険料込みの金額ですしね。
全国健康保険協会(協会けんぽ)ホームページ 令和3年度保険料額表(大阪府)
この表の、「介護保険第2号被保険者に該当する場合」というのが、健康保険料+介護保険料の合算金額です。
介護保険の料率は、令和3年3月から1.8%(これを会社と従業員とで半分ずつ負担)。
健康保険の料率は都道府県によって異なりますが、介護保険の料率は全国統一です。
ここ5年間は毎年変更。この保険料額表が3月に更新されますので、注意しておきましょう。
いつから控除するのか(40歳)
それでは具体的に、いつから介護保険料を控除開始したらよいのか。
【原 則】
従業員が「40歳に達したとき」から徴収し、
従業員が「65歳に達したとき」から徴収しなくなります。
「40歳に達したとき」=40歳の誕生日の前日のことであり、その日が属する月から徴収します。
「40歳に達した日」と、当月徴収・翌月徴収のタイミング、1日生まれの人に注意して考えます。
例えば、
【2/24生まれの場合】
- 40歳到達日=2/23なので、2月保険料から介護保険料発生
- 2月保険料を3月払の給与から控除している会社の場合(翌月徴収と言います)、3月払から徴収開始。
- 2月保険料を2月払の給与から控除している会社の場合(当月徴収と言います)、2月払から徴収開始。
翌月徴収か当月徴収かによって、開始月が違ってきます。
会社によりけり(翌月徴収の方が多いと思います)なので、確認してください。
【2/1生まれの場合】
- 40歳到達日=1/31なので、1月保険料から介護保険料発生
- 1月保険料を2月払の給与から控除している会社の場合(翌月徴収と言います)、2月払から徴収開始。
- 1月保険料を1月払の給与から控除している会社の場合(当月徴収と言います)、1月払から徴収開始。
いつから控除するのをやめるのか(65歳)
40歳から控除開始して安心しきっていると、65歳になった従業員に対して、控除を停止するのを忘れてしまったりします。
もう一度原則に戻って、
【原 則】
従業員が「40歳に達したとき」から徴収し、
従業員が「65歳に達したとき」から徴収しなくなります。
「65歳に達したとき」=65歳の誕生日の前日のことであり、その日が属する月から徴収しなくなります。
例えば、
【2/24生まれの場合】
- 65歳到達日=2/23なので、2月保険料から徴収がなくなる。1月保険料まで発生。
- 翌月徴収の場合は、3月払から控除停止。
- 当月徴収の場合は、2月払から控除停止。
【2/1生まれの場合】
- 65歳到達日=1/31なので、1月保険料から徴収がなくなる。12月保険料まで発生。
- 翌月徴収の場合は、2月払から控除停止。
- 当月徴収の場合は、1月払から控除停止。
余談ですが、加入している健康保険組合によっては、従業員本人が40歳になっていなくても、被扶養者である家族の方が40歳以上になると介護保険料が追加されることもあります。
まとめ
書いていてもややこしい。というか書くと余計にややこしく感じます。
一度理解してしまえば、あとはミスに気を付ければ大丈夫です。
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