以前、定年後再雇用時の同日得喪について書きましたが、
これに関連して、同日得喪した月に賞与の支払いがあった場合の社会保険料控除について、間違えやすいところがあるのでまとめてみました。
賞与支給日が、同日得喪日の前か後かによって、社会保険料の有無が変わってきます。
資格喪失月の賞与に社会保険料はかからない
まず基本の話ですが、
社会保険料(健康保険・厚生年金保険)は、いつからいつまでかかるかというと、
資格取得日の属する月から、資格喪失日(退職日の翌日)が属する月の前月分の保険料まで
です。
7/15退職(資格喪失日7/16)の場合、6月保険料までかかります。
7/10賞与支給のあと、7/15退職する場合、7/10賞与には社会保険料はかかりません(賞与支払届の提出は必要です)。
同日得喪の前と後では、社会保険料のかかり方が違う
同日得喪というのは、例えば60歳定年、65歳まで1年ごとの有期雇用契約という場合、
60歳でいったん被保険者資格を喪失させ、その同じ日に資格を再取得する、という手続きです。
これにより、60歳以降に給与が大幅に下がった場合に、随時改定を待たずに社会保険料を変更する(下げる)ことができるというものでしたね。
この同日得喪の仕組みと、さきほどの原則を合わせて見てみると、
同日得喪日より前の日に賞与を支払う場合は、前の被保険者資格で見るので、社会保険料がかかりません。
一方、
同日得喪日以後に賞与を支払う場合は、新しい被保険者資格で見るので、社会保険料がかかります。
たとえば、7/16同日得喪の場合、こうなります。
- 7/10払の賞与:社会保険料はかからない(7/16に喪失した被保険者資格により)
- 7/20払の賞与:社会保険料がかかる (7/16に再取得した被保険者資格により)
まとめ
同日得喪の特例を使わずに、定年前後で被保険者資格を継続したままの場合は、特にこういった点を考えずに済む(前後の賞与にも当然社会保険料はかかってくる)のですけどね。
同日得喪だと、あれ?と立ち止まってしまうかも、原則に戻って考えましょう。