最低賃金、どこの都道府県が適用されるのか【支店・テレワーク・派遣社員の場合】

社会保険や労務のお話

令和4年10月1日から、大阪府の最低賃金が時給1,023円に上がります。

令和3年は992円でしたので、31円の引き上げ、昨年の28円を上回りました。
そして大阪初の1,000円超え。東京・神奈川に次ぎ3番目の1,000円台突入。

最高額は東京の1,072円で、次いで神奈川の1,071円。最低額が853円の10都道府県。

地域別最低賃金はこのように都道府県によって異なりますが、
本社は大阪府で、京都支店勤務だった社員に、現在は奈良県の自宅でテレワークをさせていまして…なんていうケースはどうなるのか、まとめました。

支店の場合

本社と支店が別の都道府県にある場合、支店の社員はどちらの都道府県の最低賃金が適用されるのか?

その社員が勤務している支店都道府県の最低賃金が適用されます。

私が新卒で入社した会社は、本社が大阪市でした。
雇用契約は大阪本社と結び、保険証もそういえば協会けんぽ大阪支部から発行されていましたね。
私は地元八王子の営業所に配属され、営業所長の指示で仕事をし、勤怠の管理等もされており、東京都の最低賃金が適用されていたと思われます。
(八王子市もれっきとした東京都です。)

ただし、出張所や支所等、ごく小規模で独立性のない場合は、直近上位の機構とまとめて一つの事業所として考えます。

例えば新聞社の地方通信部で、1名の記者のみが連絡要員として常駐しているに過ぎず、人事給与の権限なく事務も扱わない場合とか。
生命保険会社の支部、事務所機能のない建設現場やビルメンテナンス業の作業場など。

こういったところは、本社などそのすぐ上位の事業所と一括して一つの事業所として取り扱われます。

ここは最低賃金法というよりは、労働基準法の事業所の考え方のところで、判断に迷ったら、労働基準監督署に問い合わせてみましょう。

テレワークの場合

テレワーク・在宅勤務をしている場合、会社の存在する都道府県と、社員の住んでいる都道府県、どちらの最低賃金が適用されるのか?

その社員が所属している会社の都道府県の最低賃金が適用されます。

元々大阪府の会社に勤務していた人が、コロナ禍により、兵庫県の自宅で完全テレワークとなった場合は、実際の業務を行う場所にかかわらず、大阪府の最低賃金が適用されます。

派遣社員の場合

派遣社員の最低賃金は、派遣元と派遣先のどちらの都道府県の最低賃金が適用されるのか?

派遣先の事業所の所在地である都道府県の最低賃金が適用されます。

大阪府の派遣会社に登録し、滋賀県の会社に派遣されて働く場合は、滋賀県の最低賃金が適用されるということです。

ちなみにこの「派遣」とは、厚生労働大臣から労働者派遣事業の許可を受けて派遣業を営んでいる会社が行う派遣のことです。
単に人を差し向けるという意味の派遣、ではないです。

従業員をビルメンテナンスの業務にあたらせるために、委託先のビルに常駐させて働かせる際に「派遣する」と何気なく言ったりするので、これも派遣に該当するのだろうか??と思うことがあるかもしれませんが、それは派遣業の派遣ではありませんので念のため。

そもそも派遣業で警備業務は扱えないですね。

また支店の例にあったように、独立性のないビルメンテナンス業の単なる作業場については、直近上位の事業所に一括されることになります。

まとめ

というわけで、冒頭の問、

本社は大阪府で、京都支店勤務だった社員に、現在は奈良県の自宅でテレワークをさせている場合、最低賃金は京都府の金額が適用されることになります。


最低賃金は何月何日の勤務分から変わるのか?は下記の記事をどうぞ。

タイトルとURLをコピーしました