中小事業主の労災保険:特別加入制度

社会保険や労務のお話

こんにちは、大阪市の女性社労士 小森ゆかりです。

本来、労災保険は労働者の負傷・疾病・障害・死亡等に対して保険給付を行うための制度です。

事業主が労災保険料を支払い、雇用される労働者が労災にあった際に補償を受けるというものです。

しかし中小企業の場合、事業主は労働者と一緒に、労働者と同様の業務に従事することが多く
また、建設業などの自営業者は、いわゆる一人親方として、労働者を雇わずに自分自身で業務に従事しています。

こういう方たちの業務の実態は労働者と変わらないことから、労働者に準じて保護することを目的として、特別加入という制度があります。

労災保険の特別加入は、

  1. 中小企業の事業主を対象とした第1種特別加入
  2. 自営業や一人親方を対象とした第2種特別加入
  3. 海外派遣者を対象とした第3種特別加入

の3種類に区別されます。

今回は1の中小企業の事業主を対象とした特別加入についてです。

第1種特別加入とは

労災保険に特別加入できるのは、中小企業の事業主・役員・家族従事者

この方々が業務遂行上、労働者に準じて保護することが必要と認められた場合、労災保険が適用されます。

例えば、建設会社を経営している社長は、事業主なので労災保険は適用されません。
でも社長自らが現場に出向いて作業を行うこともあります。
元請から工事を受注する際に、事業主が特別加入することが条件と言われることもあります。

この場合、社長には通常の労災保険が適用されないため、労災保険の特別加入制度に入る必要が出てくるわけです。

業務上のケガについては、健康保険は使えず全額自己負担となってしまいます。
万が一のときの備えとして、特別加入を検討してみてください。

●中小事業主と認められる事業の規模

業 種 常時使用する労働者数
金融業・保険業・不動産業・小売業  50人以下
卸売業・サービス業 100人以下
上記以外 300人以下

労働保険事務組合に加入することが必要

労働保険事務組合は、中小企業の労働保険料の申告、納付などに関する事務処理を事業主に代わって行う団体です。
厚生労働大臣の認可を受けて、商工会や事業協同組合などの事業主団体がサービスの一環として運営するものや、社労士事務所に併設されているものがあります。
事務組合のサービスや料金は団体によって違いがありますが、
年1回事業主が行う労働保険料の申告および納付の手続き(年度更新)や、
従業員の入退社に関する雇用保険の手続きなどがあります。

でも、たとえば労災事故が発生した際の労災の請求手続きや、従業員の入退社に関する社会保険の手続きなどは労働保険事務組合で行うことはできませんので、
そのあたりも一括して任せたい!という場合は社労士事務所併設の事務組合や、社労士経由で事務組合に加入されることをお勧めします。

まとめ

弊事務所にご依頼いただく場合は、
大阪社労士会のもつ大阪SRという事務組合に加入することができます。
その後の事務処理・連絡等などについては、社会保険労務士が行いますので、
ご安心の上、お任せいただけます。
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