従業員を雇うなら、労災保険に加入しましょう

社会保険や労務のお話

こんにちは、大阪市の社労士さちこです。


私の勤務している社労士事務所でも、雇用調整助成金申請のご依頼があります。

申請の前提として、労災保険と雇用保険に加入していること、という条件があるのですが、
驚いたことに、労災保険に加入していない会社さんがあるということです。

従業員を1人でも雇った時点から、労災保険は成立している

労働基準法では、従業員が仕事中に病気やケガをしたときには、事業主が、治療費を負担し、仕事を休んでいる間の給与の補償を行うこと等を義務付けています。

仕事中に、その業務が原因で病気やケガをした場合、それが本人の不注意からだったとしても事業主の責任となります(業務に全く関係ない場合は適用外)。

  • 調理中に油がはねてやけどを負った
  • 会議室に椅子を運んでいる途中、椅子を足に落として骨にひびが入った
  • 業務用スマホを見ながら社内を歩いていて、階段を踏み外して足を骨折した など

病院の治療代、薬代、入院代、通院代、リハビリ代、仕事を休んでいる間の給与の補償、障害が残ってしまった場合の補償、亡くなってしまった場合の遺族への補償。
こういった費用を全て事業主が負担するのはなかなか厳しいのではないでしょうか。

そこで、国が労災保険という制度を作り、事業主が国に保険料を支払う代わりに、国が事業主に代わって従業員に対する補償を迅速に行ってくれるという仕組みです。
いざという時のために、事業主の方は必ず労災保険制度に加入しておかなければなりません。

というかですね、言い方を変えると「従業員を1人でも雇った場合は、その時点から労災保険の保険関係は成立している。事業主が手続きをするかしないかは別として。」という状況です。

もし事業主が手続きをしていなかった場合でも、従業員に過失はないので、従業員は労災申請をすることができます。
そうすると、事業主はさかのぼって保険料を徴収され、さらに保険給付に要した費用の一部を負担することにもなりかねません。
しつこいようですが、労災事故が起きる前に加入手続きを済ませておきましょう。

ちなみに、誰でも厚生労働省のHPから、その会社が労働保険に加入しているかどうかを検索することができます。

厚生労働省 「労働保険 適用事業場 検索」

労災保険料ってどのくらいかかるの?

労災保険料率は業種によって異なりますが、1000分の2.5~1000分の88(令和3年度)の間です。
労災保険料は1年分まとめて前払いしますので、年間保険料をざっくり計算してみましょう。

例えば飲食店で、1名アルバイトを雇ったら・・・

  • 1日4時間・週3日勤務(月13日とする)※週20時間未満なので、雇用保険未加入
  • 時給1,000円
  • 飲食店の労災保険料率1000分の3

1日4時間×月13日×時給1,000円=月額給与52,000円                  
月52,000円×12ヶ月=年間給与624,000円
年間給与624,000円×保険料率1000分の3=年間労災保険料1,872円 

年間1,872円です。

労災保険は従業員負担がありませんので、この全額を事業主が負担します。
いかがでしょうか。思ったよりも安いですか?高いですか?

まとめ

労災保険の加入手続きは、事業所の住所を管轄する労働基準監督署で受け付けてくれます。

自分ではできない!時間がない!というお客さまは、お近くの社会保険労務士までぜひご相談ください。

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